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東京高等裁判所 昭和53年(ウ)771号 決定

申立人 板東三七郎

主文

本件異議申立てを却下する。

理由

頭書控訴事件の口頭弁論は昭和五三年六月一二日終結し、判決言渡期日が同年八月七日午後一時と指定されたこと、その後同事件の控訴人である申立人から裁判長に対する忌避申立てがあったため右事件の訴訟手続は停止されたが、同年七月一二日当庁第一民事部において右忌避申立てを棄却する旨の決定があり、翌一三日に右決定正本が申立人に送達されたことにより、訴訟手続の停止が解除されるにいたったこと、そのため、申立人が訴訟記録の閲覧を申請した同年七月一九日及び同月二八日当時は、右事件につき判決の評議、判決草稿の作成、更には申立人の同月一九日付け口頭弁論再開申立てに基づく弁論再開の要否についての検討等を行うため、同事件の訴訟記録は判決裁判所を構成する各裁判官において常時これを参照する必要があったこと、以上は、当裁判所に職務上顕著な事実である。

右の事実によれば、当時同事件の訴訟記録の閲覧については民事訴訟法一五一条一項但し書にいう「裁判所の執務に支障あるとき」に該当する事由が存在したことが明らかであるから、前記各日時に申立人の記録閲覧申請を拒絶した当庁裁判所書記官の措置は、いずれも相当であって、本件異議申立ては理由がない。

よって、主文のとおり決定する。

(裁判長判事 外山四郎 判事 近藤浩武 鬼頭季郎)

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